ファクタリングの債権譲渡契約とは何か?契約内容・リスク・注意点まで徹底解説
2026年1月26日
資金繰りの手段として利用されることが多いファクタリングですが、その契約内容まで正しく理解できている方は意外と多くありません。
特に重要なのが「債権譲渡契約」です。ファクタリングは単なる資金の立て替えではなく、売掛債権(売掛金)を譲渡することで成り立つ取引であり、この契約内容を理解せずに利用すると、思わぬトラブルにつながる可能性もあります。ファクタリングは「売掛債権(売掛金)」を有償で債権譲渡し、その対価としてお金を受け取ります。
本記事では、ファクタリングにおける債権譲渡契約の基本から、契約書に記載される内容、注意すべきリスク、安全に利用するためのポイントまでをわかりやすく解説します。
これからファクタリングを検討している方はもちろん、すでに利用経験のある方もぜひ参考にしてください。
債権譲渡契約とは何か
まず債権譲渡契約とはどのようなものなのか、改めておさらいしておきましょう。債権譲渡契約によって資金調達するのがファクタリングというものになります。
債権譲渡契約の意味
債権譲渡契約とは、ある人や企業が保有している「債権」を第三者に譲り渡すことを定めた契約のことです。債権は「相手方に金銭の支払いやサービスの提供などを要求できる権利」です。
事業主様が売掛先に対して「毎月決まった日に「売掛金」を支払うことを求める権利」がファクタリングにおける債権になります。
ファクタリングにおいては、事業者が取引先に対して持っている売掛債権(売掛金)を、ファクタリング会社へ移転するための契約が「債権譲渡契約」となります。
ファクタリングは単なる資金の立て替え払い、前払いではなく、売掛債権(売掛金)という「権利」を売却する取引です。そのため、誰がその債権を保有するのかを明確にする必要があり、その役割を果たすのが債権譲渡契約となります。この契約があることで、売掛金の回収権、受取権が正式にファクタリング会社へ移ることになります。
売掛債権(売掛金)を譲るとはどういうことか
売掛債権(売掛金)を譲る(債権譲渡契約)とは、商品やサービスを提供した対価として将来受け取る予定の代金(売掛金)を、第三者に引き渡すことを意味します。
通常であれば、取引先からの入金を待たなければ現金は手に入りませんが、ファクタリングを利用すれば、その入金前の段階で資金化することが可能です。
このとき、事業者は売掛債権(売掛金)そのものを売却し、ファクタリング会社はその債権を取得します。つまり、支払期日が来た際に代金を受け取る権利は、ファクタリング会社側へ移転します。これが「債権を譲る」、債権譲渡契約という法律行為の実態です。
単なる資金の前借りではなく、あくまで権利の移転である点が、ファクタリングの大きな特徴といえるでしょう。
債権譲渡契約の民法上の考え方をわかりやすく解説
民法では、原則として債権は自由に譲渡できるものとされています。特別な取り決めや法律上の制限がない限り、債権者は自らの判断でその権利を第三者に譲ることが可能です。
ファクタリングは、この民法上のルールに基づいて行われている取引です。つまり、法律的にも正当な仕組みであり、適切な契約を結んでいれば違法性はありません。
「当事者間の自由な意思表示」によって契約されたものは、よほど公序良俗に反するものや脅迫、詐欺など違法な欺罔行為によるものでなければ有効です。
ただし、売掛先との契約に「債権譲渡禁止特約」が含まれている場合などは注意が必要です。このようなケースでは、契約内容を十分に確認したうえで利用する必要があります。いずれにしても、債権譲渡契約はファクタリングの法的根拠となる重要な契約であることに変わりはありません。
ファクタリングで債権譲渡契約が必要な理由
債権譲渡契約とはどのようなものかザックリ説明しました。みなさまも(なんとなく)理解していただけたはずです。では、その債権譲渡契約がなぜファクタリングに必要なのか解説します。債権譲渡契約の契約をしなくても、当事者でOKすれば問題ないのが民法の期待のはずです。
ファクタリングは売買契約である
ファクタリングで債権譲渡契約が必須とされる最大の理由は、この取引が「売買契約」にあたるからです。
ファクタリングの仕組みは、金融機関からお金を借りる融資とは本質的に異なります。融資であれば返済義務が生じますが、ファクタリングでは債権を売却するため、原則として返済義務は発生しません。この違いを明確にするためにも、債権譲渡契約の締結が不可欠となります。
ファクタリングは「アセットファイナンス」と呼ばれる資産の売却による資金調達、一方融資は「デットファイナンス」と呼ばれる借入で、負債を計上しなければなりません。
融資との違い
上述のようにファクタリングは「アセットファイナンス」、融資は「デットファイナンス」です。融資とファクタリングの大きな違いは、「お金を借りているかどうか」です。
融資の場合、借りた資金は将来的に返済しなければならず、利息も発生します。一方、ファクタリングは売掛債権(売掛金)の売却であるため、返済という概念がありません。
この違いを曖昧にしたまま取引を行うと、実態としては融資と判断される可能性があります。その場合、貸金業登録をしていない業者が金銭を貸し付けたことになり、法律違反となる恐れも出てきます。
そのため、ファクタリングでは必ず債権譲渡契約を締結し、取引が「債権の売買」であることを明確にする必要があるのです。
「ファクタリング」と呼ばれているのに融資だと判断されるのは、いわゆる「給料ファクタリング」(給与ファクタリング)や「償還請求権ありのリコースファクタリング」です。それらではないことを確定させるためにも、債権譲渡契約が必要になります。
債権譲渡契約がなければファクタリングは成立しない?
債権譲渡契約がなければ、誰が債権を保有しているのかが不明確になり、ファクタリング取引自体が成立しません。
また、契約書が存在しない場合、二重譲渡や支払先の混乱など、さまざまなトラブルが発生するリスクも高まります。民法上の債権譲渡契約なので、当事者間で明示的な意思表示があれば、契約書がなくても債権譲渡契約は成立しますが、証拠を残すのはリスクヘッジのためです。
さらに、万が一トラブルが起きた際にも、契約書がなければ自分の権利を主張することができません。債権譲渡契約は、ファクタリング会社だけでなく、利用者自身を守るための重要な書類でもあります。
このように、ファクタリングにおいて債権譲渡契約は単なる形式ではなく、取引の安全性と合法性を支える中核的な存在なのです。
債権譲渡契約書に記載される主な内容
債権譲渡契約を締結する際には、どのような内容が記載されるのでしょうか?単に債権譲渡契約を結んだから良い、というわけではなく必要な事項が合理的な内容で書かれていなければなりません。
売掛債権(売掛金)の内容と金額
債権譲渡契約でまず明記されるのが、譲渡の対象となる売掛債権(売掛金)の内容です。具体的には、どの取引先に対する売掛金なのか、金額はいくらなのか、支払期日はいつなのかといった情報が記載されます。
これらが曖昧なままだと、後から「どの債権を譲ったのか分からない」といったトラブルにつながるため、正確な情報の記載が求められます。特に、複数の売掛先を持っている事業者の場合は、対象債権の特定が非常に重要になります。
譲渡日・支払条件について
契約書には、債権を譲渡する日や、ファクタリング会社から支払われる金額・支払日も明記されます。
この部分が不明確だと、「いつ買い取り資金が入金されるのか」「手数料はいくら差し引かれるのか」といった点で認識のズレが生じてしまいます。
また、支払方法が一括なのか、分割なのかといった点も確認しておくべきポイントです。実務上は一括払いが一般的ですが、契約内容によっては例外もあるため注意が必要です。
償還請求権の有無
債権譲渡契約の中でも特に重要なのが「償還請求権」の有無です。償還請求権とは、売掛先が倒産するなどして支払いが行われなかった場合に、ファクタリング会社が利用者に対して返金を求める権利のことを指します。
一般的なファクタリングでは「償還請求権なし(ノンリコース)」が採用されており、この場合、売掛先の倒産リスクはファクタリング会社が負うことになります。
「償還請求権あり」の契約は裁判で「ファクタリングではなく融資」と判決が出ました。そのため、「償還請求権あり」で書かれていた場合、この契約書にサインしてはいけません。ほぼ100%悪徳業者だとご認識ください。
契約書を確認する際は、この点がどのように記載されているかを必ずチェックしましょう。
契約解除・違約時の取り扱い
債権譲渡契約には、契約解除の条件や違反時の対応についても記載されます。たとえば、虚偽の申告があった場合や、同じ売掛債権(売掛金)を他社に譲渡していた場合などには、契約解除や損害賠償の対象となることがあります。売掛債権(売掛金)の二重譲渡は下手すると、詐欺罪に問われかねない「重大犯罪」です。絶対にしてはいけません。
こうした条項はトラブル時に大きな影響を及ぼすため、内容を理解せずに署名するのは非常に危険です。契約前には必ず目を通し、不明点があれば説明を求めるようにしましょう。
もちろん、債権の二重譲渡を意図的にしてはいけない(意図がなくても過失になる)のは当然です。
2社間・3社間ファクタリングとそれぞれの債権譲渡契約の違い
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングで、締結する債権譲渡契約の内容が異なります。それぞれ押さえておきましょう。
2社間ファクタリングの債権譲渡契約
2社間ファクタリングとは、利用者とファクタリング会社の間だけで行われる債権譲渡契約です。
売掛先にはファクタリングの利用が通知されないため、取引先に知られずに資金調達できる点が特徴です。
この場合でも、必ず債権譲渡契約は必ず締結されます。ただし、売掛先への通知や承諾が不要な分、ファクタリング会社にとっては回収リスクが高くなるため、手数料はやや高めに設定される傾向があります。
また、債権譲渡登記を求められるケースもあり、契約内容の確認は特に重要になります。
3社間ファクタリングの債権譲渡契約
3社間ファクタリングは、利用者・ファクタリング会社・売掛先の三者で行う債権譲渡契約です。売掛先に債権譲渡の事実を通知し、承諾を得たうえで契約が成立します。
3社間ファクタリングでは、売掛先が直接ファクタリング会社へ支払いを行うため、回収リスクが低く、手数料も比較的安くなる傾向があります。その一方で、取引先に資金繰りの状況を知られる可能性がある点には注意が必要です。
「ファクタリングするくらい経営が追い込まれているのか?」と邪推され、関係がマイナスになってしまう可能性もあります。
債権譲渡契約内容の違いと注意点
2社間ファクタリング、3社間ファクタリングのいずれの場合でも、債権譲渡契約の重要性は変わりませんが、債権回収の流れ、トラブル時の責任範囲は必ず確認すべきポイントです。
債権譲渡通知されるのを知らずに3社間ファクタリングしても、それは自業自得としか言えない状況です。
自社の状況に合わない契約形態を選んでしまうと、想定外の費用やトラブルにつながる可能性もあります。契約内容を十分に理解したうえで、自社にとって最適な方式を選ぶことが重要です。
債権譲渡契約で注意すべきポイント
債権譲渡契約についてどのようなことに注意すれば良いのでしょうか?注意すべきポイントについて解説していきます。
二重譲渡はNG
ファクタリングで特に注意すべきなのが「二重譲渡」です。これは、同じ売掛債権(売掛金)を複数の業者に譲渡してしまう行為を指します。意図的でなくても、管理が不十分なまま複数社と契約してしまうことで発生するケースがあります。
同じ売掛債権(売掛金)について、A社とB社それぞれでファクタリング契約してしまうと、言い逃れのできない二重譲渡です。
二重譲渡が発覚した場合、契約違反となり損害賠償を請求される可能性があります。詐欺罪に問われるリスクもあります。
また、当然信用問題にも直結するため、事業継続に大きな影響を及ぼすリスクがあります。ファクタリング会社だけではなく、売掛先にもバレたら、取引継続が危なくなります。
債権譲渡契約を結ぶ際は、対象となる債権を明確にし、二重譲渡が起こらないよう十分に管理することが重要です。
債権譲渡禁止特約の存在
売掛先との契約内容によっては、「債権譲渡禁止特約」が定められている場合があります。これは、売掛債権(売掛金)を第三者に譲渡することを禁止する条項です。
2020年の民法(債権法)改正により、債権譲渡禁止特約があっても譲渡自体は有効とされるケースが増えましたが、売掛先との関係悪化やトラブルに発展する可能性は残ります。そのため、契約前には必ず売掛先との契約内容を確認し、問題がないかをチェックする必要があります。
悪質なファクタリング業者に注意
ファクタリング業界には、残念ながら一部に悪質なファクタリング会社も存在します。
たとえば、
・法外な手数料
・契約内容を十分に説明しない
・実質的に貸付なのにファクタリングと偽る
・高額な違約金を設定している
といったケースです。
こうした業者は、債権譲渡契約の内容を曖昧にしたまま契約を迫る傾向があります。契約書をきちんと提示しない、説明を濁すといった場合は、その時点で利用を見送る判断も重要です。
ファクタリングは民法上の契約なので、詐欺や脅迫、公序良俗違反に問えない場合「有効な契約」になってしまいます。明らかにみなさまに不利な債権譲渡契約でも有効なものとされては、大きなリスクになってしまいます。
債権譲渡登記とは?必要なケースと注意点
債権譲渡契約を締結する際に「債権譲渡登記」を求められることがあります。債権譲渡登記についてはしてもしなくても、債権譲渡契約はできるのですが、ファクタリング会社によっては求めてくることがあります。
債権譲渡登記不要のファクタリングが良いのですが、概要を説明します。
債権譲渡登記の概要
債権譲渡登記とは、債権が譲渡された事実を法務局で登録する制度です。登記を行うことで、「この債権はすでに譲渡されている」という事実を第三者に対して主張できるようになります。登記簿は日本全国誰でも閲覧可能です。
特に2社間ファクタリングでは、売掛先に通知をしない代わりに、債権譲渡登記を求められるケースがあります。これは、ファクタリング会社が債権の存在を公的に証明するための手段です。
債権譲渡登記が必要になるケース・ならないケース
すべてのファクタリングで登記が必要というわけではありません。
一般的には以下のように使い分けられます。
・2社間ファクタリング:登記を求められることが比較的多い
・3社間ファクタリング:売掛先の承諾があるため登記不要な場合が多い
2社間ファクタリングの方が債権譲渡登記を求められることが3社間ファクタリングと比べて多いのは事実ですが、2社間ファクタリングも含めて債権譲渡登記を求めないファクタリング会社が多数派です。
ただし、登記を行うことで第三者にファクタリングの利用が知られる可能性がある点には注意が必要です。2社間ファクタリングでも、債権譲渡登記すれば取引先や金融機関にバレる可能性があります。
債権譲渡契約の際には、債権譲渡登記の有無も確認してください。
ファクタリングでは債権譲渡契約をしっかり確認し不利にならないようにしよう
ファクタリングにおいて、債権譲渡契約は売掛債権(売掛金)を適切、適法に譲渡し、取引の安全性と合法性を確保するための、非常に重要な契約です。
債権譲渡契約を理解することで、
・ファクタリングが融資ではないこと
・契約上のリスクや注意点
・安全な業者の見分け方
などの重要な要素が明確になります。
逆に、契約内容をよく確認せずに利用してしまうと、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性もあります。ファクタリングは民法上の債権譲渡契約なので、よほどのことがない限り「当事者間の自由な意思表示」が優先します。後悔しても「契約してしまった」事実は残ります。
債権譲渡契約を正しく理解し、適切に利用すれば、ファクタリングは資金繰りの心強い選択肢になります。
よろしくお願いいたします。
実際にファクタリングサービスの立ち上げに携わったメンバーも在籍。
実質の手数料や審査通過のリアルを徹底的に追求し、お客さまの資金調達をナビします。